佐藤 貴幸

Takayuki 　Sato

一般社団法人イロドリファクトリーズ 代表理事

今から20年ほど前。私が教職に就いた当時、企業が学校に出向いて授業を行う「出前授業」は珍しい取り組みでした。

時が経ち、今ではここ北海道・札幌市でも、先生方が自ら企業を探し、子どもたちに社会のリアルを届けようと尽力している姿をよく目にするようになりました。教育委員会や民間企業によるマッチングの仕組みも現れ、大手企業からの売り込みもあり、出前授業はより身近なものになりつつあります。

けれど、実際に学校現場で取り組んでいく中で、「ただマッチングされるだけでは、なかなか理想的な授業にはならない」という声も耳にしてきました。何より、私自身が担任としてそう実感することが多くありました。

打ち合わせの時間が十分に取れないことや、教育現場特有の配慮がうまく伝わらないこと、そして何より、教育の専門性と企業の強みをどう結びつけていくか――。その間には、越えるべき壁があると感じています。

だからこそ、企業と学校、両方の立場や思いを理解し、そのあいだに立って丁寧につなぐ存在が必要なのではないか。
出前授業が、子どもたちにとって本当に豊かな学びとなるように。企業にとっても、ニーズを満たし企業価値を高める機会となるように。

そんな気づきが、イロドリファクトリーズを立ち上げるきっかけとなりました。

当法人は、学校と企業を「つなぐ」だけでなく、「共につくる」パートナーでありたいと考えています。

ここ北海道にある学校と企業。
それぞれの思いを乗せて、少しずつ、でも確かな一歩を重ねていく。
その先に、もっと彩りのある未来が広がっていると、私は信じています。

　　　教室に、もっとリアルを。
　　　北海道に、もっとイロドリを。